第44回絵画教室『触って楽しむ絵画鑑賞』
第44回絵画教室を、8日(群馬県桐生市の介護老人保健施設)と13日(栃木県足利市のデイサービス優)の2回に分けて開催しました。今回はいつもと違う試みとして「触って楽しむ絵画鑑賞」を行いました。皆さん要介護で半分は認知症の方々です。先ず絵を手に持って鑑賞してもらいます。裏返してもOK。描かれている所を撫ぜてもOK。但し舐めるのはNG!なんて冗談を交えながら絵と触れ合っていただきます。途中で絵を描いた作家のプロフィールや作品評も紹介しました。
以下、皆様の感想です。 男性と女性の反応の違いがあからさまに異なり、おもしろく思えました。
●女性の利用者のコメント
「かわいいね」「優しい感じのする絵だね」「あら素敵」「 こんな細かいとこまでよく書いてるわねー」「ワンちゃん?空を見てる。かわいいわね 。この目がいい。点をちょこッて描いてるだけなのにいいよねー」 「空がよく描けてる。私が福島に行ったときはうす曇りだった。季節の違いかねー」「ゴミが付くから絵に触るのはヤダ」「触ると絵具のところがざらざらしてる」と、皆でわいわい始める。
●男性の利用者のコメント
「・・・」「へえー。なるほどね」「これは布かい?何に描 いてる?」「福島!二本松はよく行ったよ!良いところだ。菊人形とかね」「ざらざらしてる。何で描いてるんだろ? 」と、話が途絶えてしまったり私との一対一の話になる事が多い。しかも絵の話ではなく 、どうやって描いたとか、福島に旅行に行った話だとかで話が弾む感じ。
絵の作者は菅野伝授という福島県二本松市在住の方です。美術評論家の石川翠氏から作品をお借りする縁があり、氏より絵に触れる事の提案があり今回の試みとなりました。正直この試みがどんな意味があるのか不明です。「絵を・見て・触る」事は「彫刻を・見て・触る」事と何の違いがあるのか?もとい「絵を・見て・触る」事と「普段ありふれたものを・見て・触る」事の違いの中に、何を見出せばよいのか?今のところ何も思いつきません。しかし、よくわからない事を行ってみるという事は、そこから今までにない何かを発見できるかもしれない事だとは思います。
少なくとも、絵画作品ですと言われたものを手にもって触れることは普段しない事ですし、いつもとちょっと違った事が行われる事で、コミュニケーションに弾みがつくという点ではプラスの効果にはなったようであります。