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森村均氏作品所感 『ただようかたち(ステンレス 鉄 砂 1994)』 2016年10月:有鄰館アートビエンナーレ


上:『ただようかたち(ステンレス 鉄 砂 1994)』作品動画

岡村正敏

11時間前 ·

群馬県桐生市:有鄰館アートビエンナーレ 

森村均氏作品所感  10月7日。群馬県桐生市の有鄰館で開催されているアートビエンナーレのボランティアをしてきました。受付です。受付などをしていると出展している作家さんが来たりしていて、お話をする機会もよくあります。今日はたまたま作品の様子を見にきた森村均氏とお話しする事が出来、作品について説明を聞く機会がありました(動画の作品です)。 作品の題は『ただようかたち(ステンレス 鉄 砂 1994)』。 砂山の上でステンレスの輪がぐるぐると回っています。私はてっきり砂の下にモーターが埋めてありその動力で回っているのだと思いこんでいましたが違いました。森村氏曰く、砂山の天辺はとがった棒が突き出ていて輪は乗っかっているだけ。つまり弥次郎兵衛です。ではどうして回るのかと言えば、左右に電磁石が設置してあって磁気のON・OFFがタイミングよく切り替わる事で、輪の鉄部がひきつけられその慣性で回っているのでした。これは説明を聞かなければわかりません。成るほど言われてみると、モーターの音もなく静か。静けさの中で輪が回っている。いや巡っている言う語感の方が適っているように、そこに在る。森村氏によれば、モーターを使用すれば同じ軌跡の繰り返しになってしまうのだそう。磁力を使う事で輪は繰り返し回るのではなく、毎回その軌跡は微妙に異なるものになる。つまり同じ位相にあって尚「ゆらぐ」在り方としてこの作品はあるのだとも言える。そんな事を考えながら改めて作品を見続けていると、鉄・ステンレス・砂といった無機物の人為的な総合が「磁気」によって自然の「ゆらぎ」を獲得した結果、第2の自然として自己運動をしている現場に立ち会っているような気もしないではない。ともあれ、あれこれ考えずとも、居心地良くも不思議な空間構成の一部としてこの作品が機能していることは確かな事で、森村氏曰く地球上の素朴な自然には絶対有り得ない「無重力でしか有り得ない在り方」なのだそう。私は何時しか『2001年宇宙の旅』を連想していました。 何にせよこのビエンナーレの作品中、唯一のキネティックな作品なので展示構成的にも欠かせない作品でありました。

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